ステルスマーケティングの事例

以下の事例は、ステルスマーケティングが暴露されたケースです。

成功したステマは「ステマ」と認識されないため、事例集に加わることがありません。ステマの事例とは「ステマに失敗した事例」です。

食べログ事件

「ステマ」の存在を世間に知らしめた事件。2012年1月、口コミグルメサイト「食べログ」において、やらせ業者の存在が明らかになった。

1ヶ月10万で口コミ投稿するという業者の営業を受けた飲食店は、食べログを運営するカカクコムに通報した。同社が独自に調査を行った結果、やらせ業者の存在が確認し、その経緯を公表するに至った。

やらせ投稿の存在はネットユーザーの多くが薄々気づいていたことだが、39社にも及ぶ業者がビジネスとして食べログにやらせ投稿をしていた事実は衝撃を与えた。

ヤフー知恵袋やらせ投稿事件

2011年10月、QAサイトのYahoo!知恵袋で行われるステルスマーケティングの資料がネットで流出した。実在するマーケティング会社の社名も記載されていた。

メディアの取材に対して同社は、ヤフー知恵袋へのやらせ投稿に関わる当資料が本物であることを認めた。

手法としては、商品Aの営業支援をする場合、その商品を勧められそうな質問をピックアップして、消費者のふりをしてAを勧めるというもの。その資料によると、月間の投稿回数15回につき4万円のステマ報酬を設定していた。

ソニー ゲートキーパー事件

2004年、携帯ゲーム業界において、ソニーのPSPと任天堂のDSが激しいシェア争いをしていた。当時、「画面にドットがかかる」といったPSPの不具合が散見され、2ちゃんねるや個人ブログでソニーへの批判がわきあがった。

そのようなソニー批判にたいして、過剰ともいえる攻撃が寄せられた。あまりに執拗な「PSP擁護、DS叩き」のコメントに手を焼いたサイト管理人は、コメントのIPアドレスを調べた。すると、「gatekeeperX.sony.co.jp」(Xには数字が入る)というホスト名が判明。ソニー社内からの書き込みを示すものだった。

その後、多くのブロガーやネットメディア所有者が、同ホスト名で検索したところ、2000年ごろからステマ書き込みらしき内容があり、書き込みの量はとうてい一人では不可能な規模で、ソニーが組織的にステマ行為に手を染めていることは明らかだった。

このような世論誘導の匿名書き込みは、ソニーに限らず他の企業も行っているかも知れない。しかし、ソニーのような著名ブランドメーカーが、簡単にホスト名が割れるような稚拙なステマ行為を繰り返してきたことは嘲笑の的となった。

ソニー ウォークマン体験日記事件

2005年11月、ソニー関連会社が一般のブロガーにウォークマンを貸し出し、個人的な感想を書いてもらうという企画があった。

モニターとなったブロガーは、ウォークマンを絶賛する一方で、競合のアップルipodを酷評した。そのブログでは、「マックユーザーだが使えないので買い換える」という趣旨の記事があったが、その記事ですでにwindowsのキーボードを使っていることが判明。

さらに、素人が撮ったはずの個人的な写真についても、映り込んだ影から照明マンの存在を指摘をされる。やらせでることが判明した体験日記は数日で閉鎖。一般ブロガーを偽装したソニーのステマブログであることがばれてしまった。

ペニーオークション芸能人ブログ事件

ペニーオークションとは、入札の度に手数料を必要とするタイプのオークション。落札できなくても手数料を支払う義務がある。入札単位も低額であることから、落札価格は通常より低いという触れ込みだった。

2012年、落札できない仕組みのペニーオークションを運営した経営者が逮捕される。商品は用意されておらず、オークション参加者の手数料を抜き取る詐欺だったことが発覚した。

この逮捕によって、芸能人ブログのステルスマーケティングも明らかになる。複数の芸能人がペニオクで落札した旨の記事をブログに投稿していた。しかし、実際にはステマであり、運営者から金品をもらって虚偽の内容を書いていたのだった。

通常のステマでは、合法的なごく普通の商品にたいして消費者を装って宣伝する。この件のステマは、影響力のある芸能人たちが、実名で詐欺の片棒を担いだことになる。

バイク王比較サイト事件

バイク買取大手のバイク王が、その立場を隠してバイク買取比較サイトを複数運営していた事件。あたかも他の買取業者と競っているように装っているが、すべてバイク王のやらせであり、ユーザーはどこで買取を申し込んでもバイク王のみが査定を行える仕組みになっていた。

仮にバイク王を査定対象から外しても、実際に査定するのはバイク王の別会社だった。この事実が明らかになってからサイトは閉鎖され、同社は「広告サイトという認識だった」と謝罪した。

▼海外事例

ウォルマーティング・アクロス・アメリカ事件

2006年二人のカップルによってwal-marting Across Americaというブログが開設された。このブログは、ウォルマートの駐車場を経由しながら自動車旅行するもの。全米ウォルマートでは、RV車にむけて駐車場を夜間の間だけ無料開放していた。

同ブログではウォルマートの社員の温かさや同社の美談が繰り返し綴られた。しかし、「ビジネスウィーク」の報道により、このブログは広告代理店が仕掛けたフェイクブログ(FROG)だと判明。広告代理店の社長が正式に謝罪文を発表した。

当時、ウォルマートで働く従業員の劣悪な就労環境が問題視されていた。社会的な批判の矢面に立っていたウォルマートは、イメージアップを図る必要があり、広告代理店を通して実施されたステマだった。

Windows Vista PC提供事件

2006年12月、Windows Vistaが発売された際、同OSが搭載されたPCをブロガーに渡して感想を書いてもらう企画があった。

このキャンペーンを企画した広告代理店は「貸している」と説明したが、実際はブロガーにプレゼントしていたことが判明。PCをタダで提供されたブロガーたちが公平な記事を書くとは期待できないため、この企画はステルスマーケティングであるとして批判されることになった。

企画を実施した広告代理店は、ウォルマーティング・アクロス・アメリカ事件のブログを企画した会社だった。

美容整形スタッフレビュー事件

美容整形外科のLifestyle Lift社がそこで働くスタッフにポジティブレビューを書くことを指示した事件。 やらせWEBサイトの作成まで強制していた。指示した際のメールも公開された。

同社は法律事務所に訴えられて罰金30万ドルを払うことになった。